◇医療における損害賠償◇
【1:医療事故/誤診T】
■Q:二歳になる子どもの咳が止まらずあわてて近くの開業医にかかりました。医者は外科が専門でしたが医者を信用して軽い風邪との診断にその日は咳止めの薬を投与してもらい家へ帰ったのですが、翌日子どもが高熱を出し苦しみ出したのです。救急車で前日とは別の大きな大学病院へ運び精密検査を受けさせたところ、ウイルス性の肝炎であったことが判明しました。子どもは生死の境をさまよいましたがなんとか助かりました。最初の病院での誤診から多額の治療費やつらい思いをさせられたことに対して慰謝料の請求はできますか?
■A:開業医と大学病院の医者とではこなすべき医療水準に差異があります。一般に広く浅くの治療を受け付けることが求められる町医者の立場では、自身のもつ医療水準を超えているとおもわれた患者についてはしかるべき専門医療機関での適切な治療を受ける機会を患者に与える義務があります。これに違反し漫然と診療をおこなったために発生した損害には責任を負う必要があり、このケースのように本来なら専門医の診断を待つべきであった外科医には損害賠償を請求することが出来るように思われます。
賠償額例:4,000〜5,000万円
【2:医療事故/誤診U】
■Q:妻が胃の調子が悪いと近所の開業医に見てもらったところ胃潰瘍と診断され、通院と投薬を受けていました。しかし症状は悪化し大学病院の専門医の診察をうけることになりました。そこで胃がんの末期と診断され三ヵ月後に妻は死亡しました。最初に誤診をした医者に損害賠償の請求はできるでしょうか?
■A:前ケース同様、開業医と専門医の医療水準 の並べることは出来ませんが、医者がその立場での平均的な水準を満たした上での判断であれば過失は認められません。しかし、一定の通院の期間に胃がんの発見は可能であったと思われます。さらに、もし開業医が胃がんを発見していたとして、その時点で手遅れであった場合も考えられるため、奥さんの死亡と開業医の医療行為のに因果関係があったとは言い切れません。こうした因果関係の立証は難しいものです。そのため早期発見していたら治療と延命の可能性があったにもかかわらずそれが侵害されたという観点であれば損害賠償請求が認められることもあります。
賠償額例:(因果関係が認められる場合)3,000〜4,000万円
※ここでの賠償額例はあくまでも一例です。実際のケースでは賠償額はその他の要因によって変わることがあります。